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野口 和紀 のコラム
借地の更新料について(2011/03/31) 新着   遺留分減殺請求と不動産鑑定士の役割(2010/08/05) 
◆借地の更新料について new 2011/03/31
  借地の更新の時期到来に伴って最も悩ましいのが、更新料の問題です。相談を持ちかけられることも多いので、主に算出方法について述べてみようと思います。
  借地人が地主から更新料の支払いを請求された場合、更新料については事実たる慣習の存在が認められていませんので、支払わずに、そのまま法定更新に移行してしまうという方法もあります。しかし、これからも円満な借地関係を維持していくためにも、出来るだけ支払う方向で考えていくことを私はお勧めしています。
通常、借地の地代いうのは土地のもつ価値と比べ、低廉な地代で推移していることが多く、地主からしてみれば返してほしいところだがそうもいかないので、更新などの機会を捉え、低廉な賃料を補填していく方法しか選択できないからです。
  一方、借地人としても更新料を支払って合意更新とすることで、円満な借地関係を維持し、不意の立退き要求などのリスク回避にも繋がりますし、建替えなどの必要が生じたときも地主からの承諾を得やすくなります。
では、更新料の金額については、どのように考えたらいいのでしょうか。一般的な目安としては以下の式で算出された額となります。
  更新料=借地権価格(更地価格×借地権割合)×3〜5%
  ここで5%を上限としたのは、増改築承諾料の算出方法で借地権価格の5%を用いることが多いからです。
増改築は実質的な期間の延長ですが、更新は形式的な期間の延長にすぎません。よって、これを超えることはないと考えられます。
  そして、3〜5%の範囲のうち、どの数値を採用するかは、対象となる不動産の更地価格や借地権割合、算出された総額なども総合的に勘案して決めることとなります。
  また、ここで最も注意すべきなのは、更地価格や借地権割合、3〜5%のうちのどの数値を採用するかについて、あまり欲張った数値での算出はしないということです。
  なぜなら、借地人からみて予想以上に高額な提案では、「ない袖は振れない」、適正な金額であれば支払おうと思っていたのにとなり、争いの元ともなりかねないからです。また、借地人の更新料に対する支払い能力や借地上の建物の構造・用途などにも配慮が必要です。
  もちろん、ここで述べた算出方法はひとつの目安にすぎません。
野口和紀   実際にはこれらのほか、現行地代の水準や地代の推移の状況、今までに支払った一時金など、ひとつひとつの借地に合わせて考えることが必要なことは言うまでもありません。 なお、上記で更新料について事実たる慣習の存在が認められていないと述べましたが、事実たる慣習の存在が認められた判決(東京地判昭49・1・28判時740・66)もあり、その唯一の判決で鑑定を行ったのは私の恩師である稲野辺良一先生です。

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◆遺留分減殺請求と不動産鑑定士の役割  2010/08/05
  開業して4年目になりますが、仕事柄、相続関係の相談をいただくことがあります。
  そこで出て来る内容で最も多いのが、「遺留分減殺請求に関連して不動産の評価をお願いしたい」というものです。
  例えば、被相続人Aが亡くなって、その子B・C・Dが相続人である場合、法定相続分は各々3分の1、遺留分は各々3分の1の2分の1、すなわち6分の1(1/3×1/2)となります。
  しかし、遺言などで法定相続分に満たない程度しか相続できない人がいる場合に、この遺留分を査定するために不動産の評価が必要となることがあります。そして、このような場合、代償金を支払うことで解決を図ることも多く、この代償金の額を決めるために鑑定評価が必要となることがあります。
  私はこのような相談をいただいたときに、まずは相談者の話をよく聞き、遺留分権利者(遺留分減殺請求者)と被請求者の話し合いがどの程度まで進展しているのか、鑑定評価以外の方法〔例えば、地価公示価格や相続税路線価、固定資産税評価額など、容易に入手でき、かつ費用もかからず、双方合意しやすい方法〕で代替できないのか、ということに心を砕きます。
  というのは、双方いずれも人間ですから、遺留分権利者であれば評価額が高いことを望みますし、被請求者であれば低いことを望みます。
  そこで、不動産鑑定士が双方の話し合いの進展の程度にかかわらず、また、双方の合意が大切であることを説くこともなく、安易に鑑定評価に応じて鑑定評価書を出してしまえば、評価額を巡る争いに転じてしまうことは容易に想像できます。
  このような場合、不動産鑑定士としては、徒に不動産価格について争う姿勢を煽ることなく、話し合いの進展の程度を十分に把握して双方の合意形成を促すことが、まずは肝要だと思います。
  そして、鑑定評価を行う場合には、鑑定評価額について任せていただくのはもちろんのこと、双方ともにどのような鑑定評価額が出てもそれに従うということに合意していただいてから鑑定評価を行うという姿勢が求められるものと思います。
  そうであれば、出て来た鑑定評価書を有意義に使っていただくことができ、報酬が無駄になることもありません。
  もちろん、常に不動産鑑定士が思うように進展していくわけではないですし、当事者双方ともにいくらかわからず、交渉の土台として鑑定評価額が欲しいということもあるでしょうから、これら場合にまで鑑定評価を行うべきではないと言っているわけではありません。むしろ不動産鑑定士が積極的にかかわることで、早期解決に一役買うことができると思います。
野口和紀
  今後、高齢化が進む一方、不動産については物件ごとの個別化が進み、不動産鑑定士が相談に乗らせていただくケースが増えることと思います。そのようなとき、不動産鑑定士は鑑定評価を行ってこと足れりとするのではなく、相談者に無用な時間と費用を費やさせず、「相続」が「争続」にならないように留意し、他日、このようなケースでは必ず不動産鑑定士が携わり、「鑑定士にお願いして良かった。」と言っていただけるようにしたいと思っています。

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