敷地が南側道路に接面する画地については、通常、高い販売価格になっていますね。他の条件が同じならば、住宅地の価格は南道路の方が高いのが一般です。
道路は将来に亘り道路としての機能を担保され、道路が廃道となることは通常は考えられず、そのため、日照・通風が将来にわたり確保されるからです。
住宅地の価格を形成する要因としては「日照・通風等の良否」は重要な事項です。この良否により、同じ地域に存する住宅地の価格は大きく変化します。
けれど、全ての事柄に例外があるように、南側道路が必ずしも良いとは限りません。
特に道路幅員が4m未満、敷地規模が30坪程度の住宅については、必ずしも南側道路が良いかというとそうではないと思うのです。
まず、敷地面積が小さければ建物の間取りが制約される結果、玄関を南側に配置せざるを得ません。この場合、玄関があることによって1階部分の居室面積は小さいものとなります。
通常、戸建住宅の場合は南側にリビングルームを配置しますが、この家族団らんの場所が狭くなります。
次に、プライバシーについてですが、狭い道路に面した南側の居室は、そこを通行する人の視線に晒されます。したがって、カーテンなどで視線を遮断しますが、これでは、日照・通風が阻害されます。
建売住宅の販売チラシをよくご覧下さい。例えば、5棟分に区画割した図面にA棟○○円、B棟○○円などと価格が記述してありますが、いつだって南道路の価格が高くなっているのが分かります。
供給者である不動産業者さんは、消費者が南道路を好むことを良く知っているから、南道路の画地を高く設定します。これに問題はありません。消費者が求めるもの、需要が高いものについては価格が高くなるのはマーケットの原則ですから。
しかし、価格が高い物件は需要が高い物件とは言えても、必ずしも価値の高い物件とは言い難い側面も有しています。