国家資格である不動産鑑定士は、不動産価格や不動産の適正な利用に関する専門家です。主な仕事は、不動産を担保に金融機関からお金を借りるときや、国や都道府県が土地を買収するときにその土地の価値を評価、国や都道府県の地価公示や基準地価の計算することもあります。また、離婚や相続時の財産分与の際などに必要となる個人の不動産査定評価を行うことも少なくありません。
個人が不動産鑑定士に自宅の不動産査定を依頼する場合は、不動産鑑定評価と価格調査の2つの方法から選ぶことができます。費用が安いのは価格調査のほうで、簡易で時間も少なくて済みます。ただし不動産鑑定評価基準に則っていないために、たとえば夫婦の協議離婚においてお互いの財産を分け合うときや不動産の売買、借金の際の不動産担保などの評価を計算するときなどには良いのですが、公的機関に提出する資料として価格調査の結果を利用することはできません。裁判や納税の根拠のような公的機関に提出しなければならないような場合は、不動産鑑定評価による不動産査定が必要となります。
ところで、不動産鑑定士に依頼した査定額が思っていた価格に比べて低く、不安や不満が生じる場合があるかもしません。そのような場合でも、不動産鑑定士が出してきた査定額は絶対的な権威があるのでしょうか。しかし不満を持ったまま、もんもんとしているのも良いことではありません。そのようなときは、自分で相場を調べてみることをおすすめします。そして、あまりにも相場からかけ離れていないか確認してみましょう。
その上でもやはりおかしいと感じたり不満を感じるような場合には、再度査定してもらうように見直し依頼をしてみることをおすすめします。不動産鑑定士も人間ですから、間違いがないとは言い切れません。 また、不動産鑑定士の態度に不満や不安を感じることもあります。誠意が感じられなかったり、軽く見られているような気がしたり、言動が気になったりなど不安があるときには、他の不動産鑑定士に替えるのも手です。病院でもセカンドオピニオンが認められているように、不動産鑑定士は他にもいるわけですから、心から信頼できる方に任せるのが良いでしょう。
なお、不動産売買では最終的に価格を決めるのは売り主と買い主である点も重要です。不動産鑑定士が査定した額でなければ売れないというわけではありません。それ以上の価格でも売れることもあれば、逆に高すぎて売れないこともあります。