“鑑定士には骨董品や美術品など、扱うものによって色々な種類があります。その中から専門的に集中したり、全般を取り扱うなど、スタイルも様々です。しかしそれら鑑定士は日本ではこれといった資格はありません。したがって鑑定士になるには、売買に必要な古物商の許可を得るだけで済みます。まずない例ですが、自分で売買をせずに価値を見出すだけであれば、資格が全くなくても行えます。

ただ鑑定士と名乗るだけであれば誰でも可能ですが、実際にはそれだけで実用できるものではありません。なので骨董品であれば考古学といった風に、大学などで専門的に学んだ経歴が資格であるとも言えるでしょう。正しく見極められる実力はもちろんのこと、どのような鑑定を行ったかという経歴も重視されます。
芸術的な鑑定士であれば誰でもなることができますが、中には不動産鑑定士というものがあります。文字通り不動産の価値を判定するための役職ですが、この不動産鑑定士になるには国家資格が必要です。不動産は日々細かく価値が変動する上に、相続による現金化や税金の計算のためなどで、評価する機会が非常に多いです。それを専門的な知識によって算出するのが不動産鑑定士です。なのでその他の鑑定士とは別物と考えて問題ありません。
不動産鑑定士の資格を得るためには年に1回行われる試験に通過する必要がありますが、その受験資格は特にありません。学歴や経験などに関係なく受けられます。試験は2段回に分かれていて、まずはマークシート式による行政法規と鑑定評価理論について答えます。そしてそれに合格すると、次の論文へと進めます。
論文は3日をかけて行われ、民法・経済学・財政学に鑑定評価理論を加えた4つがテーマです。マークシートと論文のどちらも合格率は非常に低く、厳しい壁となります。またマークシートに合格すれば翌年と翌々年は免除され、直接論文へと進むことができます。Paragraph
そして試験に通過すればすぐに不動産鑑定士になれるのではなく、実務修習の段階を踏まなければなりません。講義や実地演習などで能力を高めていきますが、1年あるいは2年のどちらかを選ぶことができます。どちらも内容は共通していて、時間だけが異なります。日常生活に合わせやすくするための配慮で、そのような形になっています。さらにその実務修習の最後には口頭での設問と小論文による修了考査があり、それに通過することができれば、不動産鑑定士として登録されます。”