毎年1月の地価公示作業が終わると、次は相続税標準地の評価が控えています。だいたい2月上旬には提出するので、今頃はほとんどの鑑定士が作業を終えて、納品している頃でしょう。
相続税標準地というのは、地価公示・地価調査に次ぐ公的な仕事です。「次ぐ」というと、税務当局の方からお叱りを受けるかもしれませんが、実際に、相続税を課税するための基準となる「路線価」を引くために、地価公示・地価調査を補助する目的で、税務当局独自の鑑定評価をすると言うことです。
もう少し説明すると、相続税の路線価は、路線(道路)ごとに評価が付けられるわけですが、この際、いくつか基準となる土地(標準地)を選定し、これを基準(親)として、その周辺の各路線(子)に価格を振っていくという仕組みになっています。周辺の各路線に価格を振るのは「精通者意見」といって、また別な作業がありますが、混乱するので詳細はここでは省略。
そしてその標準地は、まず地価公示・地価調査の標準地・基準地が当てられるますが、人口10万人クラスの都市でも、それらは合わせて50地点弱しかありません。ところが、路線価は道路ごとですから、数千箇所の評価が必要になります。これでは、とても足りません。そこで税務当局では、更にいくつかの標準地を設定して、カバーしようという訳です。
個別の評価作業としては、地価公示に準じており、一般鑑定のようなボリュームはありませんが、難しいのは「地域における価格バランス」です。
地価公示作業で、一度地域の価格バランスは考慮しているわけですが、それらと整合性を保ちながら、更にその相続税標準地の地域変動も気にしながら価格を付けていくというのは、結構神経を使う作業です。というのも、この価格バランスについては説明責任もありますし、ひいては3年に1回行われる固定資産税の評価替え(次回は来年)の時の地域バランスに、そのまま影響してしまうからです。
この「地域における価格バランス」は、やはり地元で長いこと仕事をしていないとわかりません。取引事例だけをみて「ここは価格が下がっている」「ここは横這い」というのは簡単ですが、なぜそうなのかという合理的な説明はできないでしょう。
景気が悪いから?いや、それだけでは無いはずです。その地域独自の理由が必ずあるはずなんです。
不動産の適正な評価=地域分析+個別分析!
ちょっと力が入ってしまいましたが、それを的確にできるのは、その地域を 知っている 鑑定士に他なりません。
この話は、今後も繰り返し出るかもしれませんが、それだけ重要なことだと言うことを認識していただければと思います。