不動産・建築関係の国家資格の一つである「不動産鑑定士」は、土地鑑定委員会とよばれる国土交通省の審議会が実施する国家試験に合格した後に実務修習を受け、修了が確認されて国土交通大臣の不動産鑑定士名簿に登録されれば取得となります。国家資格では受験資格が細かく定められているものが少なくありませんが、不動産鑑定士については2006(平成18)年以降は受験資格が撤廃されており、年齢や国籍、学歴、実務経験などに関係なく、申し込みをすれば誰でも受験できます。
不動産鑑定士の国家試験は、すべて択一式の問題でマークシートに解答する「短答式」と、問題に対して文章で解答する「論文式」の2種類があり、短答式に合格した者のみが論文式の試験を受けられる仕組みになっています。ただし、不合格であっても短答式に合格していれば、翌年と翌々年は免除され、論文式に合格すれば実務修習へと進むことができます。また、論文式についても学歴や資格の取得状況などによっては一部科目の免除の対象になるので、実施要領はよくチェックしておきましょう。
第1段階の短答式試験は、例年5月中旬の日曜日に行われます。受験者は2月中旬から3月上旬までの間に設けられる申込期間内に、必要書類の提出と手数料の払い込みを済ませて本番に臨みます。科目は行政法規と鑑定評価理論の2つで、どちらの科目も出題数は40問、制限時間は120分となっています。土地鑑定委員会では合格基準を明確にしていませんが、例年得点率で7割程度が合格の目安といわれています。
第2段階の短答式試験は、例年7月下旬から8月上旬の土曜・日曜・月曜の3日間で行われます。科目は民法、経済学、会計学、鑑定評価理論の4つですが、鑑定評価理論については3つのパートに分かれています。6つのパートそれぞれの制限時間は120分で、大問の数は鑑定評価理論が5問、その他の科目が各2問です。例年の合格基準は、得点率6割程度といわれています。
不動産鑑定士は、テスト勉強や本番の練習のための時間を十分に確保することができ、勉強に用いるテキスト選びで間違えなければ、独学で取得できる可能性があります。しかし、問題の難易度が高いゆえに毎年の合格率は非常に低く、仕事をしながら独学で勉強して合格を目指すのは困難を極めます。このため、受験者のほとんどは資格予備校の講座に申し込んで勉強をします。もし、独学でやり遂げられる自信があるなら自分でテキストを購入して勉強すれば良いですが、自信がないなら資格予備校を利用すべきです。予備校が遠くにあるなどの理由で通学が困難であれば、オンライン講座の受講も検討してみましょう。
不動産鑑定士 独学で勉強する時のコツ
不動産鑑定士 独学で勉強する場合には、どのように勉強したらよいでしょうか。まず独学で行うこと自体に賛否両論がある中で、実際に不動産鑑定士 独学で合格した人もいますので、ご安心しても良いでしょう。とは言え、普通のやり方をしていてもなかなか合格しないのがこの試験の難しいところです。
不動産鑑定士の試験は倍率がそれなりに高いことで知られています。不動産鑑定士の試験を受験を決意する段階ではある程度調べておかなければいけませんが、この点がおろそかになっている人もいるわけです。なんとなく興味本位でこれからの将来は資格を取得しておいた方が良いので受験すると言う人がいますが、それでは本質を見抜いているとは言えません。
三大国家試験の1つとして知られていますので、簡単に合格するといったものではありません。勉強方法等も気にしておく必要がありますが、その中で最も重要になるのはどこに絞り込むかでしょう。おそらく、よほど特殊な人を除いて、不動産鑑定士試験を長く受け続ければ大抵の人は合格するはずです。それだけの時間があれば問題ないと言えます。ところが、実際にはそのような事はありません。何故かと言えば、時間が限られているからです。人生が一万年ぐらいあればいずれ合格できるかもしれませんが、人間の寿命はそれほど長くないわけです。そうすると、その中で合格しなければならず、これがなかなか困難といえます。
このような場合には、合格のためのコツを知りある程度範囲を絞り、その部分を集中的に勉強することで、合理的な方法をとることができます。試験勉強は、全体が出るわけではなく全体の2割しか出ないと言われています。本気で合格したいならばその2割うまく絞り込むことが大事です。教材選びは法改正等の観点から2016年以降の教材が良いです。
勉強時間の割合の目安は毎日2時間ぐらいになります。